「麻帆の大学留学経験シリーズ」前回は「学生がStudent-Athleteと呼ばれ、社会から認められている3つの理由」という題で書きました。
第5回目の今回は、Student-Athleteがどのように「学業とスポーツを両立」しているのか、 学業面のサポート体制について詳しく書きたいと思います!
前回にも書きましたが、アメリカの大学は一般の学生でも卒業するのが大変なので、ハイレベルな「学業とスポーツの両立」は簡単なことではありません。大学の授業に英語でついていくのはさらに大変で、正直なところ、私も苦労しました。
大学側はその難しさをしっかりと理解し、全力でサポートしてくれます。 その充実したサポート体制の中で、「日本の高校を卒業した私が、特に驚いた3つの事」について書きたいと思います。
まず一つ目に私が驚いた事は、大学内に「アスリート専用の勉強施設」がある事です。
その施設では、無料の家庭教師を受けられたり、最新版のパソコンが使えたり、勉強会を開けるスペースが確保されていたりと、「授業に臨むためには最高の環境」が整っています。 私は、特に1年目の勉強が不安な時は、練習をしているか、授業に出ているか、この施設にいるかというくらい、ここでよく勉強していました(笑)。
また、この施設にいる選手たちは全員が「勉強との両立をする」という同じ目標を持っています。そのため、お互いの悩みや苦労を分かち合うこともできましたし、一緒に励まし合いながら勉強をする事が出来ました。「もう眠いし、疲れたし、勉強したくない!」など、泣き言を言いたくなる事も多々ありましたが、 他の選手達が頑張っているのを見ると、「自分も頑張ろう!」と自然に思うことが出来ました。
二つ目に驚いたことは、「スケジュール管理や成績管理をしてくれる専門の人達が、連携して選手達をサポート」してくれることです。
Academic Advisor (卒業に必要な単位を取れているか、成績がある一定の点数を取れているかの管理担当) やMentor (スケジュール管理担当)やTutor (家庭教師、授業の内容についての質問担当) などの専門家達が、アスリート専用の勉強施設に常にいてくれて、選手たちを徹底的にサポートしてくれます。
特に右も左も分からない1年生達には、この専門家たちが、手取り足取り、連携してアドバイスをくれます。 バスの乗り方にアドバイスをくれたり(私の大学はキャンパスがとても広いので、クラス間をバスで移動しなければなりませんでした)、「来週の火曜日に小テストがあるから、この週末の試合を考えると、今から勉強しておいてね」など、細かい指導をしてくれたりしました。
また、スポーツで超多忙な選手たちが、クラスでしっかり成績を取るために、言わば「無理にでもやらせる!」というスタイルで、この専門家達とコーチ達が連携してサポートしてくれます。クラスやTutorを欠席したりすると、コーチに連絡が行き、練習に参加できなくなったり、試合に出られなくなったりします。「厳しすぎるんじゃない?」と思われた方も多いと思いますが、これも選手の第二の人生を考えてのことですし、このようなサポート体制があるからこそ、普通では難しい両立ができるのだと思います。
三つ目に驚いたことは、選手たちの「タイムマネジメントの徹底した指導」を受けられる事です。
勉強とスポーツの両立は本当に大変なので 、ほぼ全員がタイムマネジメント(時間管理)に悩みます 。特に一年生は、忙しいスケジュールに慣れるまでにとても苦労するので、いろいろな人からタイムマネジメントについての指導が受けられます。そんな時に、私が出会った考え方は、「自分の中でスイッチを3つ持つ」ということです。
テニスコートにいる時はテニスの事だけを考えて「テニスのスイッチをオン!」、勉強施設にいる時は勉強のことだけを考えて「勉強のスイッチをオン!」、そして息抜きや休む時は「Off Modeのスイッチをオン!」という感じで、「1度に1つのスイッチを入れて、残りのスイッチはしっかりと消す」という事を教えて頂きました。
その考え方に慣れるまでは、テニスをやっている時に勉強の事が気になったり、休んでいる時にテニスの事が気になっていたりしていました。そんな時は、頭ばかりが先行して、あまり良い影響が出なかったり、全てにおいて中途半端になったりしてしまいました。
徐々にですが、「今はどのスイッチなのか?」を常に意識できるようになってきました。何か1つのスイッチを入れている時は、他のスイッチを消して、他のことは忘れる!という事を心がけ 、「一つのことに100%取り組む」ことが出来ましたし、集中力も上がったと思います。私の場合は、それができるようになって初めて「勉強とテニスの両立」ができたのかなと思いました。この方法は、人生において様々な事に応用可能だと思うので、大学生活中に得た重要なスキルの一つだと思っています。
私には、このスイッチ方法が一番合っていましたが、在学中に色々なタイムマネジメントのアドバイスを受けられると思うので、自分に一番合った両立の方法を見つけられるのではないかと思います。
このように、アメリカの大学では「学業とスポーツを両立」をするサポート体制が整っています。両立は簡単なことではないですが、世界中から色々な競技の選手が集まってきて、アメリカ人を含む40万人近くのStudent-Athleteができている事なので、「両立を頑張る!」という気持さえあれば、みなさんもできると思います!
長文を最後まで読んでいただき有難うございました!
次回は、施設、待遇面でのサポート体制を書く予定なので、 是非次回も読んでください。
小和瀬 麻帆