なぜ返金不要の多額の奨学金を得れるのか?
アメリカの大学の財政は、学生が納付する学費だけでなく、寄付金やスポンサーからの収入、テレビの放映権や著作権などに大きく依存しています。そしてそれはNCAA(大学スポーツ協会)が役割を一括して担い、各大学に分配する方式になっています。
そのためアメリカのカレッジスポーツは単なる教育活動の一環にとどまず大学経営の点からも大変重要な役割を担っています。アメフトをはじめとする人気スポーツチームの試合は、全米規模で放映されるなど多くのメディアで取り上げられ、広く注目を集めるからです。チームが活躍すれば大学の宣伝となり、それが莫大な寄付やスポンサー収入につながります。大学が単に学力優秀な生徒を集めるのではなく、スポーツや芸術に秀でた学生を高額の奨学金つきでリクルートするのはそのためです。という事で、アメリカの大学でプレーをするという事は、「学費」という形を変えた収入をもらい大学のためにプレーをしているので、遠征費や用具提供などは当たり前の権利で、ほとんどプロで活躍をしているような感じになります。
そんな中、なぜアメリカの大学は学業も重視するのか?
それは、もちろん学生の本分は学業であるからという事に代わりはないですが、NCAAは教育機関であり非営利団体として法人税などが免除されています。そのため、その形を保持するには学業の一定基準を満たしていなければいけません。
なので、スポーツ奨学金を得ている生徒でも、学業の成績が著しく落ちたりすれば、大学のチーム自体に翌年ペナルティーを科され奨学金が減額、出場停止、あるいはコーチへの罰金など厳罰が与えられることにもつながります。
日本では「二兎を追うもの一兎をも得ず」という諺があるように、勉強をしてたらスポーツで卓越出来ないという風潮があり、もしかすると実際にそうなのかもしれませんが、そのリスクを本当にかけるには余程の才能や運、自信がなければいけないのではと思います。
しかしアメリカのこのシステムを使って、タイガーウッズ、ジョンマッケンロー、マリオンジョーンズ、マイケルジョーダンなど各界の一流プレーヤー、オリンピックメダリストを多数輩出しているのも事実です。