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みなさん、こんにちは。「麻帆の大学留学経験シリーズ」前回は「選手たちの文武両道のためのサポート体制 ー 私が特に驚いた3つの事」という題で書きました。今回は、その続編として「施設や待遇面でのサポート体制」を書きたいと思います。

前にも少し書きましたが、アメリカでは「大学スポーツがとても人気!」なので、それが一つのビジネスとして成り立っています。私の母校のThe University of Georgiaは2014-2015年のアスレチックの収入が年間約$103 million (約128億円) で、 全米1位のThe University of Oregonは、約$196million (約243億円)の収入があったそうです。(2014-2015年の全米トップ230校の収支のランキングが見られます→http://sports.usatoday.com/ncaa/finances/

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母校の大のライバル、The University of Floridaとのフットボールの試合に見に、チーム全員でわざわざフロリダまで行った時の写真です。アメリカではフットボールの試合は一大イベントなので、この週にはクラスを休む生徒が多くいた程です。笑

人気もレベルもプロ並みの大学スポーツですが、選手たちは「大学生 = アマチュア」なので、どんなに有名な選手でも、そのお金をプロのように給料としては受け取れません。

「じゃあ、そのお金はどこへ?」と思われた方も多いと思いますが、大学側は給料以外の形で選手たちにしっかりと返してくれます。今回は、その充実したサポート体制を3つにまとめて書きたいと思います。

まず1つ目は、「充実した奨学金制度」です。

私は、フルスカラーシップ(全額奨学金)を頂いていたので、年間300万円の学費、大学の施設費、寮費(アパートメント費)、食費、医療費など、全てを含めると4年間で約2000万円を奨学金とサポートしてもらっていました。その他にも、試合の遠征費、テニスラケットやボール代、ガット代も出してもらっていたので、私が実費で負担するのは、日本帰国の飛行機代、携帯代や映画代くらいでした。(バイトをする時間がなかったので、その分は両親に出してもらっていました。今までのサポートを含め、二人には一生感謝しきれません。。。)

また、フルスカラーシップをもらえなかった場合の、 パーシャルスカラーシップ(コーチとの交渉により、奨学金の30%〜70%をカバーしてもらえます)でも 、日本の大学に進学するよりも安くなる可能性が大いにあると思います。

アメリカは広いので、ある程度のレベル(交渉によって様々ですが、地域大会出場レベルやITFのランキングを持っていれば県大会レベル )であれば、大学によってフルスカラーシップを貰える可能性が高いと思います! テニスや大学のレベルにより、そのサポート体制や待遇も変わってきますが、どの学校でも全額奨学金をもらった場合は、授業料、寮費、食費はカバーされます!

これほどまで「充実した奨学金制度」が整っているのも、大学スポーツがそれだけの収入を得られるからだと思います。人気のあるアメリカンフットボールやバスケットボールがお金を稼いでくれるからこそ、テニスや水泳などのNon-Revenue Sports (収入にならないスポーツ) も奨学金を貰えるのです。さらには、NCAA (全米体育協会) が相当なお金を持っているので、一部のスポーツ強豪校以外の大学も、NCAAからの補助金などで奨学金を出せるシステムになっています。

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そんなお金を稼いでくれるフットボールの試合は、寒い冬の試合でもチームで応援しに行きます!笑

 

次に2つ目は、「プロチーム顔負けの充実した施設です。

私の卒業校 (The University of Georgia)には、プロがトレーニングに帰ってくるほど施設が整っていました 。例を挙げるならば、最新の筋トレの機材などが完備されているアスリート専用のジムが2カ所、9万人以上入るフットボールスタジアム、2つの練習場が併設された1万人超収容のバスケットボール兼体操用のコロシアム、5千人収容のテニスコート(インドア4面を含む16面)、25mと50mプールや3つの飛び込み台を備えた水泳施設、18ホール完備のゴルフ場など、それぞれのチームに合ったとても贅沢な施設』が完備されています。

選手達一人一人にロッカーが与えられているのはもちろんのこと、コーチのオフィス、ビデオルーム、シャワーやミーティングルームなど、「部室」のイメージとはほぼかけ離れたような豪華さです。これだけ施設に投資できるのも、毎年100億円以上稼いでいるからです。 規模による違いはありますが、このように充実したスポーツ施設のある大学は何百校もあります!

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左上:アスリート専用のジム、右上:バスケットボールの試合があるコロシアム、左下:野球場、右下:フットボールスタジアム

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Student-Athlete専用のトレーニングするジムの様子

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女子テニスチーム専用のロッカールームです。

 

最後、3つ目は「充実した専門家たちからのサポート」です。

私の母校は、フィットネスを含めた優れたコーチングスタッフ 、専属のトレーナー、栄養士、スポーツサイコロジストなどからの指導、(アメリカの高〜い)医療費のカバーなど、サポート体制はまさに『万全!』でした。

チーム毎につくトレーナーは、練習や試合以外にもリハビリやストレッチなど、体のケアのために細部までメンテナンスをしてくれました。(ほぼ西洋的な施術なので、鍼灸など東洋的治療もあったらな〜と思った事は多々ありましたが・・・) また、マッサージストも常時大学にいるので、選手がいつでもセッションを受けられます。

さらに、アメリカではスポーツ心理の重要性が認識されており、私の学校ではどのチームにも「スポーツサイコロジストとのミーティング」がありました。チーム内の問題を解決する役割をしたり、コーチとのコミュニケーションでの悩みの相談相手になってくれたり、試合中に固くなってしまった時の具体的な解決策を個別に教えてくれたり・・・などなど、「競技で自分の力を100%出すため」の大きな手助けとなりました。実際に私たちのチームも、練習よりもサイコロジストとのミーティングを優先する程大切にしていました。

全ての大学にこのような専門家たち全員がいるとは限りませんが、特にスポーツの強い大学はお金があるので「選手達のためなら!」と惜しげもなく色々なところに投資をしてくれます。

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トレーナーが常時いてくれる施設。ここでストレッチやマッサージを受けられます。

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アスリート専用の栄養士のついた食堂の様子。

このようにアメリカの大学では、アマチュアのStudent-Athleteのために、学業面を含め、とても充実したサポート体制が整っています。私は「テニスをやっているだけでここまでしてもらって良いのかな〜?」といつも思う程の待遇を受けていて、世界中から選手たちが集まってくるのにも納得をしました。

必ずしも全員に向いている選択肢ではないと思いますが、プロチーム顔負けの設備やサポート体制を受けられて、学位の取得が可能なので、一石二鳥ならず一石何鳥にもなるのではないでしょうか?

 

次回は、大学入学のための「テストの合格のコツやおすすめの勉強法」について書きたいと思いますので、興味のある方は是非読んでください!

有難うございました!

小和瀬 麻帆